実際にあった離婚裁判例(熊本編)
2013年10月30日 水曜日
5年前の事です。
相談内容は夫が浮気をしていて現在別居中との事。
夫の証言によるとアパートを借りて一人で住んでいて女性なんているわけないとの事でした。
依頼者である妻は夫の別居先は把握していないし、夫は場所を言おうとしない。
依頼者は別居する以前からに不審な点が多かった事から別居の理由は絶対に女性が原因だと絶対の自信をもっていました。
調査を始めたのは相談があってすぐの事です。
別居先が判明していなかったため、本人の勤務先から尾行調査を行いました。
結果、別居先は勤務先から10分程度車で走らせたところに位置するアパートの一室でした。
ここまでは本人の証言通りです。
その日の調査は一先ずやめ、後日にあてました。
本人が勤務を終え、帰宅する3時間前から判明させたアパートで張り込み調査を開始します。
張り込みから2時間ほどが経ったころ、1台の車両が同アパート駐車場に入ってきます。
同車両から20代の女性が降車してくると持参する鍵で夫が住む「000号室」のドアを開け入室したのです。
それから数十分が経ったころ、夫が帰宅してきました。
夫の帰宅からすぐに同女性と共にアパートから出てきた夫は女性の車両で移動を開始。
近くのスーパーに行き、慣れた様子で食料品の買い物をし、再びアパートに女性共に入室しました。
私達は気合を入れなおし、張り込み調査を継続します。
翌朝、夫が出勤のため同アパートを出ます。
当然、張り込みを継続。
昼過ぎごろ女性が出てくると車両にて移動を開始。
ここまでの状況から不貞の事実を想定した私たちは依頼者に状況を報告。
すると、依頼者は覚悟というよりも想定内の結果であったが動揺と激怒の様子でした。
私たちは、もう少し証拠を撮り続けたほうがいいとご提案をしたのですが、感情を抑えることが出来なかったのでしょう・・・その日の夜に別居先のアパートで待ち構え、夫と熾烈な争いになったのです。
結果、夫との話し合いも最悪な状況になりました。
夫は離婚を要求し、女性との関係を認めないのです。
その後も依頼者は夫に証拠を見せ、強気で夫を責めますが頑固として夫は否認を続けます。
このときは依頼者も感情的になっていたので気づかなかったのは当然ですが、夫は弁護士に相談しての否認でした。
夫の言い分は女性との関係は認めるが体の関係(不貞行為)はないし、離婚に直接関係していない。
ここで私たちは、夫が知識ある人物(弁護士など)に相談していると、感知しました。
その後も話し合い、協議も折り合いがつかず、夫から離婚調停の申し込みが依頼者のもとに送られてきたのです。
調停でも協議のときとそう変わらず、夫は否認を続け半年に亘った調停も不調に終わります。
そして、とうとう裁判になったのです。
裁判では当然、私たちがとった証拠を主に進行されます。
夫の言い分はこうです。確かに女性には好意をもっていましたが、体の関係はありません。
この日(私たちが調査をした日)は、女性から相談にのってほしいとあり自宅に呼びました。
なぜ自宅で話すことしたかは女性が人には聞かれたくない相談だったから気を使い自宅にしたのです。
カギは仕事で遅くなることがあるから自宅で待っていてと事前に渡しておいたのです。
自分は女性に対し、好意をもっていたので食事しながら話をしようとスーパーに買い物に行きました。
相談は深夜遅くまで続きアルコール入っていたのでその日は女性を泊まらせました。
体の関係は一切なく、女性が来たのはこの日が最初で最後なんです。
との事でした・・・・。
常識的考えると子供の言い訳にしか聞こえませんよね。
私たちは実際に2人の様子をみていますのでなお更です。
しかし、証拠主義の裁判では残念ながらこのような言い訳が通ってしまいます。
第三者の裁判官からみるとはっきりした証拠はこの1日の事実しかないのです。
又、法案によると不貞行為の事実が1回あったとしても離婚をするほどではないとの考え方からも1回では不足なのです。
不貞行為は継続性があってはじめて離婚事由、慰謝料などが認められるのです。
裁判は依頼人の敗訴で完結したのです。
なぜこのような事態になったのでしょう。
振り返ってみるとある事に気づかされます。
そうです・・・依頼者が先行きも予想せず夫に証拠をみせた事です。
証拠をみせられた時は、夫は絶望に満ちたはずです。
しかし、弁護士に相談し、戦略を練ったのでしょう。
依頼者からしてみれば戦う前に自分の武器となる証拠をすべて夫にさらけ出したのです。
相手の武器を知った夫、弁護士は最強の防具を用意して対抗してきた結果が勝訴を掴み取ったのは間違いありません。
この判例で学んで頂きたいことは、相手に浮気の事実を突きつける前に複数回の不貞行為の証拠を取得してからと言う事と、裁判に発展する可能性が少しでも想定される場合は、安易に証拠をみせない事です。
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